Research area

研究領域

スポーツファン、アイドルファン、映画ファン、お笑いファン。
スポーツ・エンターテインメントの世界には、様々なファンが存在し、文化的・経済的に重要な役割を果たしています。
ファンは、特定の個人(アイドルなど)や組織(スポーツチームなど)を応援するために資金・時間を投じ、心理的なつながりを築き、そして時には周囲の人々にも応援するように勧めます。
近年、他の産業(アパレル・飲食など)においても顧客をファン化するためのマーケティング戦略が講じられており、ファン心理・行動に対する関心は学問・実務の両面で高まっています。
私の研究は、人がファンになっていく心理的・社会的メカニズムを明らかにすることを目的としており、そこで得られた知見は、個人や組織がファンを獲得・維持するための一助になると考えられます。
以下では、主な研究プロジェクトを簡単に紹介します。

クチコミ研究

潜在的ファンの興味を引くうえで広告以上に効果的なのがクチコミです。他の消費者から受け取ったメッセージは信頼性が高く、購買のリスクを軽減する効果があるからです。また、SNSの普及とともに、消費者間の情報共有は一層活発になっており、クチコミの及ぼす影響はより広範囲にそしてより複雑になっています。私の研究では、メッセージを発信する人の特徴(専門性など)、メッセージを受け取る人の特徴(元々の興味など)、両者の関係性(類似性など)、そしてメッセージの特徴(情報量など)に分けてそれぞれ分析しています。クチコミが発生する状況やクチコミの影響力が大きくなるメカニズムを明らかにし、クチコミを通じて新規ファンを獲得するためのマーケティング戦略・手法を提案しています。

ファンコミュニティ研究

ファンは同じ個人・組織を応援する他のファンに対してしばしば仲間意識を持ちます。ファン同士の交流が活発になり、独自の文化・慣習が生まれ、行動規範が共有されると、ファンは一つのコミュニティとして機能するようになります。これがファンコミュニティです。ファンコミュニティは、ファンの所属感を高め、応援する個人・組織への愛着を強める役割を果たします。他方で、ファンコミュニティの一体感や規範意識が強まると、その外部にいる潜在的ファンとの隔たりが大きくなり、行動規範に従わないファンを排除しようとする動きが出る可能性もあります。私の研究では、このような、ファンが集団になることで生じる特有の現象を検証しています。

ブランディング研究

個人・組織がファンを獲得するためには、自らが何者であるのか、他者とどのように異なり、何が優れているのかといった点を明確に伝える必要があります。そして、興味を持った人とはその後どのような交流を持ち、どのような関係性を構築すべきか、といった長期的な視点も必要になります。ブランディングに関する種々の理論は、こういった点を整理する上で有効です。私の研究では、個人・組織が持つ独自の機会と課題を明確にし、効果的なブランディング戦略を探索しています。また、それらの個人・組織が関わる重大な出来事(スキャンダルやステークホルダーとの対立など)がファンとの関係性に及ぼす影響なども研究しています。